ほっと通信 第61号       平成29年8月23日

 

 ちょっと暗い話ですが、今月、民生委員・児童委員研修会では「ゲートキーパー」をテーマに学びました。「ゲートキーパー」とは、自殺の危険に気付き、適切な対応(悩んでいる人に気付き、声を掛け、話を聞いて、必要な支援につなげ、見守る)を図ることのできる人のことです。「命の門番」とも言われています。
 自殺死亡率(人口10万人当たりの自殺者数)は、日本全体が16.9人なのに対し、帯広市の場合25.5人(いずれも平成28年)の高い数値を示し、年間45人前後の人が自ら尊い命を絶っているのです。年代別では、死亡原因を日本全体で見ますと、10代後半・20代・30代で1位、40代で2位となっていて、社会をけん引する若い世代の自殺は、深刻な状況にあります。自殺対策は、国にとっても、地方自治体にとっても、急務とされ、その1つとして「ゲートキーパー」の養成が進められています。

 

 私事ですが、今年3月に福井県の景勝地、越前海岸の東尋坊を訪れる機会がありました。断崖絶壁で、落ちると助からないと言われ、昔から、自殺の多いところとしても知られています。その東尋坊 から、少し離れた木立の中に、1基の電話ボックスがあります。自殺者のパトロールをしている人にお聞きしますと「自殺しようとする人は、最後に、必ず自分の胸の内を、誰かに伝えたい」そうです。電話の先には、話を聞いてくれる相談員がおられ、「何人もが、自殺を思いとどまった」とお聞きしました。
その電話ボックスには、たくさんの10円玉が置いてあります。訪れた人たちが、いつでも電話ができるように、と置いていった「命の10円玉」です。私も、置いてきました。
 帯広市内には、現在、300人を超える民生委員・児童委員がおり、様々な福祉の支援活動に関わっておりますが、そんな悩みを抱える人に、少しでも寄り添える1人でありたいな、と感じた研修会でした。

 

 民生委員制度は、今年度、創設100周年を迎え、9月10日(日)に帯広市民文化ホールで記念の十勝大会が開催されます。午後2時40分からの記念講演では、病気で失明しましたが、シンガーソングライターとして活躍中の立木早絵さんが「さらなる一歩を踏み出そう」をテーマにお話をされます。一般の方も入場無料ですので、お出かけください。
 今回は、樋渡康が担当しました。